鈴木眼科
2017/5/6
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色覚バリアフリー(1)
 
色覚異常の現状と現代社会
 
       どんな人でも色の見え方(色覚)は、実は一人一人違うのです。例えば、同じ赤色でも
      脳が認識している色は人によって微妙に違うということです。ところが、色の種類によっては、
      皆とかなり違う色と認識してしまう人達がいます。それが、色覚異常を有する人達です。
 
       色覚異常には、生まれつきの場合(先天性)病気や老化に伴う場合(後天性)との
      2つがあります。
 
       先天色覚異常は、日本人の場合、男性の20人に1人(5%)女性の500人に1人(0.2%)
      推定されています。つまり、日本には、先天色覚異常者が約300万人いる計算です。
 
       一方、後天色覚異常は、高齢化社会の急速な進展に伴い、今後ますます増えてくるはずです。
      高齢者の多くは後天色覚異常と言ってもよいでしょう。例えば、80歳を超えると誰もが
      白内障になりますが、白内障になると次第に後天色覚異常をきたすのです。
 
       色覚異常を有するといっても、それはモノクロの色覚世界ではありません。
      画家のゴッホにしても、その色彩モチーフから色覚異常を疑われていますが、素晴らしい
      色彩感覚を持っています。
 
       色覚異常を有する人は、多くの場合、色の識別はできるし、日常生活で困ることは
      ありません。しかし、状況にもよりますが(例:暗い場所・疲れている時)、色の組み合わせに
      よっては(例:赤と緑)、区別しづらい場合があるのです。
 
       現代社会は、商品・サービス・学術などの様々な情報が満ち溢れています。しかも、
      印刷技術の発達やコンピューターの普及で、そうした情報を色だけで瞬時に判断しなければ
      ならない機会がとても増えています。
 
       しかし、こうした状況であるにもかかわらず、色覚に関するバリアフリー対策の意識は、
      学校も社会もまだまだ低いのが現状なのではないでしょうか?
 
       色覚バリアフリーの第一歩は、判断・区別しなければならない情報については、
      色覚異常の有無によらず、誰にでも分かりやすい色彩表現を心がけることと言って
      良いでしょう。
 
       情報伝達に関わる多くの方々が、色覚バリアフリーについてさらに理解を深め、かつ
      その責務を自覚しながら、誰にでも分かる色彩表現が広まっていくことを願っています。





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