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色覚異常の現状と現代社会
どんな人でも色の見え方(色覚)は、実は一人一人違うのです。例えば、同じ赤色でも
脳が認識している色は人によって微妙に違うということです。ところが、色の種類によっては、
皆とかなり違う色と認識してしまう人達がいます。それが、色覚異常を有する人達です。
色覚異常には、生まれつきの場合(先天性)と病気や老化に伴う場合(後天性)との
2つがあります。
先天色覚異常は、日本人の場合、男性の20人に1人(5%)、女性の500人に1人(0.2%)と
推定されています。つまり、日本には、先天色覚異常者が約300万人いる計算です。
一方、後天色覚異常は、高齢化社会の急速な進展に伴い、今後ますます増えてくるはずです。
高齢者の多くは後天色覚異常と言ってもよいでしょう。例えば、80歳を超えると誰もが
白内障になりますが、白内障になると次第に後天色覚異常をきたすのです。
色覚異常を有するといっても、それはモノクロの色覚世界ではありません。
画家のゴッホにしても、その色彩モチーフから色覚異常を疑われていますが、素晴らしい
色彩感覚を持っています。
色覚異常を有する人は、多くの場合、色の識別はできるし、日常生活で困ることは
ありません。しかし、状況にもよりますが(例:暗い場所・疲れている時)、色の組み合わせに
よっては(例:赤と緑)、区別しづらい場合があるのです。
現代社会は、商品・サービス・学術などの様々な情報が満ち溢れています。しかも、
印刷技術の発達やコンピューターの普及で、そうした情報を色だけで瞬時に判断しなければ
ならない機会がとても増えています。
しかし、こうした状況であるにもかかわらず、色覚に関するバリアフリー対策の意識は、
学校も社会もまだまだ低いのが現状なのではないでしょうか?
色覚バリアフリーの第一歩は、判断・区別しなければならない情報については、
色覚異常の有無によらず、誰にでも分かりやすい色彩表現を心がけることと言って
良いでしょう。
情報伝達に関わる多くの方々が、色覚バリアフリーについてさらに理解を深め、かつ
その責務を自覚しながら、誰にでも分かる色彩表現が広まっていくことを願っています。
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